幼稚園の頃に愛読していた、いやいやえん。
読みたいなぁと思っていたら、旅先の本棚で見つけた。

お風呂上がりに夢中で読みながら、作者の中川李枝子さんがどんな方なのか無性に氣になった。
本の途中でググったら、なんと4日前にに地球を旅立たれていて驚いた。優しくてとても綺麗な笑顔の写真。
何十年振りに読み終え、お話の内容があまりにもビビッドに心に蘇ることに圧倒されっぱなしだった。“これ絵本のお話だっけ?私が実際体験したんじゃなかったっけ?”って何回も混乱したほど。
例えば保育園の男の子たちが積み木で作った船。あの船に私も一緒に乗って、クジラを探しに海に出なかったっけ?みんなで毛布をかぶって雨をよけるシーンなど、毛布の重みも手触りも、リアルに“自分の思い出”として刻印されている。


子供の頃本当にたくさんの本を読んだが、こんなに“自分ごと”として細胞に染み込んでいるのは、“いやいやえん”だけかも知れない!
さらにすごいのは、“色”の記憶。この本の挿絵はモノクロで、色がついてない。
私の記憶では、色付きの挿絵だったのに!
当時の私はモノクロの挿絵を見ながら文を読み、色をくっきりイメージできたのだろう。例えば主人公しげるが遭遇する鬼が“ねずみいろとももいろのしまのけいとのぱんつ”を履いてるのだけど、実際さわったかのように覚えてるもん、そのぱんつ!
言葉にならない。幼い私の溢れるほどの想像力を、リアルに再訪できたこと、なんとも言えないタイムマシン感。
いちばん好きな章は“やまのこぐちゃん”。こぐまが赤いバケツを持って、しげるのクラスにやってくるお話。担任の先生に、こぐちゃんから葉書が届くところなんて、なんかもう懐かしくて優しくてうるうる来る。


感激しすぎてたくさん書いてしまいました。著者の中川さんにお手紙を書きたいくらいのインパクトですが、それは叶わず。宇宙のどこかで、このカオスな感想文を、受け取ってくださったら嬉しいな。
Miwa